calendrier ただいま パスカルとの再会
年月日
今日はこれまでのホニャヘ日記とはちょっと違ったニュアンスです。
誹謗中傷のつもりではないけれど、これは記しておいておきたいことなので、気分を損ねたらごめんなさい。
しかもめずらしく長文です。

今まで成田と自宅の往復に便利に使わせてもらっていたANAのあいのりタクシーが、成田との往復を終了してしまった。(2006年5月時点で羽田間はまだやっているようですので、あいのりタクシー自体が終了した訳ではないようです)
あいのりタクシーに乗るためにANAを利用していたと言っても過言ではなかったから、とても残念。
昔使っていたリムジンバスは階段の段差が高すぎるし、かねてから東京駅のバリアフリーのすっとこどっこいぶりは聞いていたけれど、社会勉強のひとつとして成田エクスプレスデビューをしてみようということになった。
成田空港第2ターミナル駅はエレベーターがあってホームまでスムーズに行けるらしい。
あらかじめチケットを予約しておいたほうがいいらしいけれど、海外から飛んで来て成田から乗るチケットの予約&発券はできないので、当然乗る直前にチケット購入せざるを得ない。
窓口で「東京まで2枚、1枚は車椅子席で」と注文するとすぐに発券。
ところが列車が到着して乗り込むと、発券された席は車椅子用の席ではなかった。
とりあえずkyoくんに待っていてもらって、車椅子が落ち着けるスペースがある車両を探して移動した。
「車椅子席ってちゃんと言ったのにねぇ。」と言いながら長旅の疲れでうとうとと眠った。

で、東京から成田である。
パリにいるときからネットでいろいろ調べるも、なかなか確かなことが分からないので、スケジュールの合間に東京駅のインフォメーションで車椅子での成田エクスプレスの利用の仕方を教えにもらいに行った。
インフォメーションのお姉さんによると、チケットはみどりの窓口で予約&発券できるとのこと。
東京駅構内の地図をもらって、成田エクスプレスのホームまでの行き方、丸の内中央口に車椅子用の改札があることを教えてもらった。
後日みどりの窓口へ行って長蛇の列を並んだ末、「○月×日△時くらいの成田エクスプレス、東京から成田空港第2ターミナルまで2枚、1枚は車椅子席で」と注文すると、びっくりする答えが返って来た。

「車椅子の席は今ここでは買えないんですよ。」

なんですと!?

「むこうに障害者専用の待合室があって、そこにインターフォンがあるからそこに問い合わせてください。そこで紙に書いてもらって確認を取ってからこちらへ来てください。」

訳が分からないけれど、今ここで発券が出来ないなら言われた通りにするしかない。
みどりの窓口を出たら、確かに車椅子マークがついた無人の小部屋があった。

「すみませんが成田エクスプレスの車椅子のチケットが欲しいんですが。」

「あ〜〜・・・車椅子ですかぁ〜、え〜っとね〜・・いまそちらへ参りますのでちょっとお待ちください。」

なんなんですか、その面倒くさそうな対応は。
1分後、駅員さんがやってきて、発券のしくみを教えてくれた。
まず申込書に記入する。
その後席が空いているかどうか確認をとるらしい。
その間、なんと1時間も必要なのだそうだ。
さらに支払いと発券でもう一度みどりの窓口に並ばなくてはいけない。
「ずいぶんややこしいんですね。変えていかなければいけませんね。」
と言うと、「はぁ・・・」となんとも頼りない返事。
まあこの場はやれることをやらなければいけないので、kyoくんの名前と携帯番号、車椅子は持っていて駅員さんの介助は必要ないことは伝えた。
でも予定が詰まっていて1時間も待っていられないので、とりあえず席を押さえてもらってその旨を電話をしてもらうことにして、支払いと発券はまた日を改めることにする。
一応あちらの電話番号をもらった。
1時間もかからないうちに、車で移動中にkyoくんの携帯が鳴ったので私が出た。
さっきの人とは別の人で、とても横柄な対応だった。
どうやら席を押さえられたらしい。

「ご本人は女性ですか?男性ですか?」

何の関係があるんだろうか?

「男性です。」

「車椅子は持っていますか?こちらの介助は必要ですか?」

さっきも答えたんですけど。

「車椅子は持っています。私が押すので介助は必要ありません。」

「席は○号車の×番です。チケットは別の席で発券しますけど車椅子が入れるスペースがあるのでそちらを使ってください。」

・・・あ、要するにただスペースがあるというだけで車椅子用の席はないのと同じなんだ。
このややこしいことになってしまっている仕組みの原因がわかった。

「で〜、支払いなんですがどうしましょう?」

どうしましょうって言われたって!

「当日までにもう一度そちらへ行くしかないじゃないですか。」

「いつになりますかね〜?」

そのときkyoくんの携帯の電源がなくなってしまい、ブチッと切れてしまった・・・。
私の携帯からさっきもらった電話番号へかければまた話が出来るんだろうけど、その時点で一生成田エクスプレスに乗りたくない気分になってしまった。

日本の障害者がなかなか外に出ないわけだ。
同伴者の私でさえこれだけ嫌な思いをするんだから、本人だったら本当に二度と電車を利用したくなくなるに違いない。
そんなに難しいことではないはず。
ただあの「スペース」を車椅子専用の「席」として発券出来るよう処理すればすむことだ。
そうすればみどりの窓口に並べば車椅子席がその場で手に入れられるじゃない。
エレベーターと車椅子用のトイレを設置した、階段にスロープをつけた、段差をなくした、これらをクリアしただけではバリアフリーは達成されないんだけどなぁ。

8年前の夏、フランスの片田舎で特急に乗ったとき、何も問題なくその場でチケットを発券してくれた。
フランス人が分かる障害者手帳なんて持っていなかったけれど、何も言わなくても本人は半額、同伴者は無料にしてくれた。
フランスは建物が古い分東京以上にバリアだらけのはずなのに、車椅子が原因で嫌な思いをさせられたことは今までに一度もない。
むしろ普通に歩いているよりよっぽど人々のあたたかい心に接することが出来る。
日本だって地方へ行けばそうだと思いたい。
これはJR特有の冷たさに違いない。
どうやら心のバリアがほったらかしにされているようだ。

では京成スカイライナーなどうなのだろうと思って京成上野駅へ問い合わせてみた。
こちらはとても丁寧な対応で嬉しくなった。
残念なことは、エレベーターがないので昇降機を動かしてもらう必要があるので、駅員さんを煩わせる分早めに行かなければならないのだ。
「スペース」の扱い方はJRと同じだった。
決定的な違いは、JRは「しょうがないから乗せてやる」という態度だったけど、京成は「ご乗車おまちしております」というところ。

で、結局どうやって成田空港まで行ったかと言うと。
ちゃっかり前日に普通の席を予約して、何食わぬ顔して成田エクスプレスに乗っちゃいました。
車椅子席ではなく単なるスペースで、私たちでホームまで行くことが出来るなら別に車椅子であることをわざわざ言わなくてもいいじゃん!という判断。
東京駅でおにぎりを買って、ふたりで最後の日本のお米を味わいながら空港まで行ったとさ。