calendrier 冬なのね スタジオセッティング
2004年11月05日
フランスで暮らすための宿命のひとつ、OMI(移民局)での健康診断へ行く。
kyoくんのときにすでに行ったことがあるので、何をやるのかはだいたい分かっている。
身長体重視力測定、レントゲン撮影、尿検査、最後にお医者さまとの問診、あとはどのくらい待たされるのか考えると憂鬱だ。
てっきり20区のOMIに呼び出されると思っていたら、バスティーユだったので家から行きやすくてラッキーと思ったのもつかの間、みずきさんによるとあまりきれいなところではないらしいことが判明(うへ)。
到着すると、汚いはずの施設がとてもきれいだった。
やけににこやかな職員が「どうぞ、こちらでお待ちください」と部屋へ案内してくれると、すでに何人か待っていて、私も端っこの椅子を見つけて座った。
しばらくすると、「カフェはいかが?どうぞ飲んでください」と持ってきてくれた。
あれ?OMIってこんなところだったっけ?と思いながらもしっかりとカフェをもらった。
だってこのあと尿検査だからおしっこためないと。
そこへなんとテレビカメラが入ってきて、今日の取材が9日火曜日にテレビで放映されることを伝えられた。
げ〜、勘弁しちくり。
なんだか変だな、私の知っているOMIとは明らかに違う。
すると「フランスに住むということ」みたいなビデオを観させられた。
今日は健康診断のはずじゃないの????ともう頭の中はハテナが表面張力で今にもあふれそうだったが、観ているうちにフランス政府の移民に対する政策が変わったことを察知した。
ビデオの後の職員が、はやくフランスに馴染んで欲しい、そのためにはやくフランス語をマスターしてコミュニケーション出来るようになって欲しい、そうすれば皆さんも働けますよ、と話し始めた。
要するに、住むからにはしっかり税金を払って欲しい、ということが言いたいらしい。
そうか、フランスのイメージを良くするために施設をきれいにしてカフェのサービスなんかやるようになったのか・・・。
そして、私の上達の遅いお粗末なフランス語の知識で理解するに、今日はまずフランス語のテストを受け、面接もやって、後日丸一日かけてさらなるフランス生活の解説を受け、フランス語の授業を受けなければならないらしい。
「これは義務です。」
フランス語で苦手な言葉があるとしたら、「obligatoire(義務)」がそのひとつかもしれない。
さっきまでにこやかだった職員達の顔が鬼に見えてきた。
さっそく別室へ移動し、テストを受けることになった。
同じテーブルで黒人男性と白人女性が一緒になった。
白人女性は妊婦さんで、どうやらテストも受けられないくらいフランス語が解らないらしい。
職員の「何ヶ月なの?」という質問に「5ヶ月」とちゃんと答えていたが、「フランスで妊娠したの?」の質問にも「・・・5ヶ月」と答えていた。
言葉の不自由な外国で身重でいるというのは不安でいっぱいだろう。
まだ空欄があったけど、「あら、それだけ書ければ十分よ。こっちへ来てください。」と促され、面接。
私より若い女性と、なぜフランスに来たか、現在市民講座でフランス語を勉強している、大学では美術を勉強してました、あらいいじゃなーい!、主人は日本人で自宅で仕事をしている、あらいいじゃなーい!、などなど、面接というよりおしゃべりをしてまた別室へ移動し、別の女性と後日受けることになるレクチャーとフランス語学校の受付の日取りを決めた。
レクチャーは2種類で両方とも丸1日、フランス語学校は全部で200時間も無料で受けられるらしい。
レクチャーは気が重いけど、太っ腹だよ、フランス政府。
格安の市民講座だって60時間で80ユーロなのに、200時間がタダだよ。
「gratuit(無料)」っていう言葉は好きだわ。
メインだと思っていた健康診断はあっさりと終わって、半日に及ぶノルマはクリアした。